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President column
社長コラム

    社長ブログ 過去のノーベル賞を振り返ってみる

    過去のノーベル賞を振り返ってみる

     

    皆さんこんにちは。豊田周平です。今年もノーベル賞の受賞が次々と発表されていますが、一昨年の天野先生の受賞が決まった時、本当に嬉しかったのを今でも鮮明に覚えています。そして去年の受賞のニュートリノの観測装置スーパーカミオカンデには光電子倍増管と言うものが使われているのですが、私も光電子増倍管を学生実験で使った(スーパーカミオカンデよりはるかに小さなサイズですが)こともあり心が踊りました。今年も医学生理学賞で東京工業大栄誉教授である大隅良典さんが受賞され、今まで日本ではノーベル賞受賞者は26名、今年で3年連続で日本人の受賞。ノーベル賞に憧れ浪人して物理の道を目指しましたが、企業の研究者になってからは叶わぬ夢だと思っていました。

    そんな思い入れの強いノーベル賞を改めて見直すと本当に素晴らしい研究の成果を出している方がたくさんいらっしゃいます。私は物理屋なので基本的に物理学賞に興味がありますが、今回は私の独断で過去の受賞者の素晴らしい業績を、日本人に限らず紹介させて下さい。

    トランジスタの発明

     

    トランジスタは様々な電子回路で使用されていた、電流をコントロールするための部品です。このトランジスタができる前までは真空管で電流をコントロールしており、一般の人が使う様になるまでハードルが高いと言われていました。しかし、トランジスタの発明、そしてその後のICの発明ににより小型化になるだけでなく、高性能化への大きな後押しをする事となりました。トランジスタは正に今のエレクトロニクス社会ができるきっかけになったと言っても過言ではありません。

     

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    3人のノーベル賞受賞

     

    トランジスタの発明は、ウィリアム・ショックレー、ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテンの三人が発明し、3人で1956年のノーベル物理学賞を受賞しました。また、バーディーンは超伝導現象(診断医療でほとんどお人がお世話になっているMRには超伝導磁石が使われています。)の理論的解明で1972年に二度目のノーベル賞を受賞しています。

    真空管がトランジスタに変わってそれがたくさん集積して高機能にした物がICです。ICの発明でもノーベル賞が。でもICの発明については発明されてからノーベル賞まですごい時間がかかっており、ノーベル賞の受賞は大規模なIC(LSI)が皆さんの回りで大量に使われる様になった2000年です。ICの発明に関してはキルビーとノイスの特許争いなど多くの興味ある物語があります。

     

    トランジスタが変えてくれたもの

     

    真空管で構成されていたラジオやテレビがトランジスタになり、家庭用で多く普及していきました。真空管は電気を多く消費(熱になる)する上に、寿命が短いと言う問題がありましたが、これがトランジスタになるとほぼすべて解決。諸説様々ありますが、最初のコンピュータと言われているENIACはなんと18000本もの真空管を使っていて、機能は限られているのに一部屋を占領してその消費電力も莫大だったと。

    そしてトランジスタ等の多くの回路部品を集積するIC(集積回路、Integrated Circuit)ができて、その集積度(個別部品の数)はうなぎのぼりに多くなり現在のコンピューター、通信の基礎になっている訳です。ちょっと飛躍しすぎですが、私はこのトランジスタの発明が現代の電子社会の基礎と考えています。

     

    このように、1つのノーベル賞を受賞した研究には、今となっては当たり前になってしまっている私たちの生活を大きく便利に変え、科学技術を大きく発展させています。

    ノーベル賞を「自分には縁の無い話」と思う方もいますが、実は自分たちの身近なところで役立ってくれているのです。

     

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